☆ 芸術による調和

アアルトは<不十分な低級工業技術>というものについて述べている。これは、種々 の機能形態の調和ということを中心課題として持つところの、超技術的創造性の一形態であらねばならぬ建築に比して、<低級>と言った。彼は芸術を、調和を達成させるための唯一の手段とみなしていた。
<ほとんど全ての形態に関わる問題の中には、何十、あるいは何百、さらには何千という対立要素があって、これらは人間の意志によってしか、機能的調和状態に置くことが出来ない。孤立した技術的ないしは機械的要素は、このような道によってしか、それぞれの最終的価値を得られないのである。調和的な結果には、計算とか、統計学の知識とか、確率の研究などという手段によっては到達できない。>

50年代には、同時代の国際的潮流に対して<ハリウッド・スタイル>というレッテルを貼り、これらの建築を愚弄した。彼が攻撃したのは、構成派の形式主義的潮流であった。 <ガラスのだだっ広い面と、まがいものの金属でできた平行六面体──すなわち巨大な都市の非人間的なおしゃれなプリズム>