☆ 日本建築について

30年代半ば、日本建築──なかでも特にその特徴をなす多様性と個性に対する配慮──がアアルトの設計の上に、かなり大きな影響を及ぼしている。
<かなり前の時代から、そして工芸の時期を通じて、個人というものに対する大きな思いやりと、考慮とを示している一つの文明がある。この文明はその限られた材料と形態とを持って、ほとんど日々新しくなる組合わせと多様性を創造する巨匠のわざを人々に植え付けている。日本文明が示す、花や、草木や、自然の主題全般に対する非常な愛着心は、正にそのままで一つの手本である。ここでは自然との接触と、その自然の永遠に好ましい多様性が、そのまま生活形態になっている。だがしかし、この生活形態は、あまりに形式主義的な諸概念との折り合いをつけるのに苦労している。>