アアルトの設計には時代性の存在がうかがえる。また同時に、時間を超越した有機的世界や、歴史的環境についての潜在意識的連想を人々に抱かせる。さらに彼の建築は伝統とのつながりを持っていることは明らかである。そして、アアルトの古典古代に対する憧憬は、古代ギリシアの寓話をしばしば引用したり、円形劇場や、アゴラや、コロネードの主題を多用したことからうかがえる。

彼は、伝統に自己の関心を告白しながらも、同時にその非合理的な性格を指摘している。
＜・・・・・・一般的に言って、伝統および過去からの衝撃を今日の創造的な仕事に有機的に統合するための法則は、不幸にも漠然としか知られていない。＞