<野性の機械>
「ブラジルの未開種族の生活は、先進社会に見失われた抽象概念と具体性概念が生き生きと機能している」という文化人類学者L.ストロースの“野生の思考”という研究がある。住宅の室内をジャングルのようにみせる荒々しい柱と45度に床からとび出した方杖の、フレーム構造ではない特別なコンクリートの構造のパターンは“野生の思考”に結びつく。野生の構造体は、床や壁によって断片化され、部分がそこに露出する。断片化された部分は一つの全体像を求めて再び回復を待つのだ。
また、非調和を意識したような、この特異なコンクリート架構がつくりだす“乱暴な構成”には、東京という都市の視覚的混乱がもつ建築的意味の一つである“カオス”の楽しさを見つけ出すことができる。