衣袋先生より

澤田先生より

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お久しぶりです
建築研究会OB会諸兄姉の皆様

衣袋 洋一


 私はあいも変わらず「趣味的生活」(バスフィッシング・ラーメン・温泉・映画鑑賞・読書・ドライブ)を満喫しています。君たちにとってはうらやましく映るだろう。私の歳(現在70歳)になるのを楽しみに!! それまで、自分の今の立場で、何ができ、何を前進させ、自己更新をはかるかを「素直に見、素直に感じ、素直に学び、素直に表現・行動」し、常に明るく、前向きに思考・志向することです。君たちには学生だったころの「建築研究会」という横の糸、卒業後の「建築研究会OB会」という縦の糸、仲間、お金では買えない貴重な財産あります。私にとっても貴重な財産、学びの糸です。
 この頃、若い時と同じように腹の立つことが多すぎる。今でも、自分が自分であるためにも、素直な感覚、感性で社会に対して「何故」という問いかけを常に持ち続けたいと心がけている。

昨年度から現在に至るまで、私なりに感じたこと、考えていたこと、今考えていること等を脈絡なく以下に記します。ある意味での君たちへの問いかけであり、私自身への問いかけ、試行錯誤であり、「ボケ防止」への試みです。
①(一社)埼玉建築設計監理協会の2015年度卒論コンクールへの総評(一部加筆、修正)
 最近の学生を評価する際、私は「フラット」という言葉を使用する。身近な問題を対象に「二項対立」「対立」「両極」的に問題設定・解決(方法論、技術論的に)を図るのではなく、最初から対立を不明確にし、身近な、現在的な「生活」「慣習」「秩序」等々が基準となり、穏やかな、波風がたたない設計、作図、表現を提案する。一方、それを認める指導教員、及び周辺教員が増えた。学生作品をまず認め、エスキスで「改良」をはかり、その延長線上に寄り添い、完成させていく「優しい指導・丁寧な指導」がある。そのような対応が、学生自身、問題点として「気づき」「気づかされる」といった「アクティブ・ラーニング」にとって、有効であるかどうかどうかは、少々疑問を感じる(※真に学生を教育するならば、ある意味で教員は反面教師的であるべき)。
 今的学生の考え方、設計方法等は、ある意味で冷静であり、自分の意見を強く主張しない、落ち着いたコラボレーションに向いたものである。しかし、強い、圧倒するかもしれない提案ではなく、フラットな「改修・改良型」となってしまう傾向にある。と同時に、「人間」及び「もの・こと」への関係性が「フラット」になり、プロジェクトを進めて行くためのリーダーの質確保としては心もとなく、結果としてはリーダー不在ともなる。
 私が顧問及び審査員長をしている(一社)埼玉建築設計監理協会の卒業設計コンクールにおいて、ここ数年、最優秀賞、埼玉賞候補作品選出候補が3作品くらいの接戦を繰り広げることが多くなってきた。それ以前は、ある学生の作品が単独で票を集めるか、対称的な2作品で争うといった、審査をする方々のほとんどが、内容、表現、プレゼンテーション等々に対して納得する作品内容が多かった。
 では何が変わってきたのだろうか?
 ・先述した学生のフラットな意識
 ・現在的状況にあって、審査する側とされる側との間における「世代間」の希薄さ、価値基準の同一性
 ・建築単体思考であり、地域、都市的スケールにおける「集落」「群れ」「生物的」思考の欠如
 ・住環境、社会的関心等に世代間で大きな差がない。社会の目に見えない深刻な問題の同一性。
 ある意味での世代を超えた3.11精神的デフレ現象、社会的フラット化の蔓延
 等があげられるのではないでしょうか。

 私の趣味の一つであるバスフィッシングについて語ろう。
 バスフィッシングは「BIM」である。皆様驚くでしょう。ヘラ釣りは一カ所に座って行う。バスフィッシングは動き回り、状況を判断し、バスがいる場所を求めて釣りをする。季節、天候、場所、捕食対象、時間帯等々によって彼らの活動する場所は異なる。(一社)埼玉建築設計監理協会のある人の一言「場と状況の流れを読み取る魚の眼を持つ必要がある」は、私にとって、バスというユーザーの気持ちを鑑み、状況という「流れ」に「気づき=問題発見」、そして「問題解決=釣り上げる」一連の行為として楽しませてくれる。必要な知識は「目に見えない情報のイメージ=視覚化と分析・統合」「編集」です。
 場・状況等の「構成・構築・仕掛け・仕組み」を分析・統合、視覚化し、「編集」=「Architecture」を行うのです。あらゆる場・状況を分析・統合するための「Architecture」であり、決して狭い意味での「建築」ではない。「もの・ことづくり」等の企画開発・設計等に必要な「場・状況の流れに対する観察と分析&統合・編集」は自分自身及び「エンドユーザー(※決して施主ではない)」に対する「説明責任」だと思っている。
 場・状況を静的な「鳥の眼」「虫の眼」という上・下から見ることも大切ですが、常に自分を取り巻く場・状況に対する流れを動的な「魚の眼」で見ることは必要不可欠である。BIMという思考、ツールは「魚の眼」である。
 (一社)埼玉建築設計監理協会のある幹事会員の人から学んだ「一言」が、私の強引な思考統合としての「屁理屈」を生み出し、前向きな「元気な学び」を生み出してくれたことに感謝申し上げます。

②2017年度年賀状から
 ・昨年度「BIM(Building Imagination Modeling)とバスフィッシング」という文章を諸兄姉に掲示した。どのように考えたであろうか。君たちが自己更新、君たちがかかわっている仕事等にとっても参考に(?)になる内容だと自負している。しかし、あまり読んでいないのかもしれない、という気がしてならない。
 今年の年賀状(※年賀状のやり取りをしていない諸兄姉の住所等は、建築研究会OB会に所属していても、私の住所データベースからは削除されていますことを承知されたし。返事がなくても2年間は出し続けましたが、反応なきOB・OGに対して3年目からは出しておりません)の宛先住所が、以前住んでいた住所に送付している人が多数いた。ショックだった。転送届は昨年11月いっぱいで終了しているにもかかわらず、近くに引っ越したこと、名字が珍しいこと、歩夫妻が旧住所に住んでいる等の理由から、ありがたいことに新住所に配達されてきた。「2016年度年賀状」及び「2015年度機関誌」に住所変更の記載をしていたにもかかわらず。単なる一通の賀状としか見てくれず、残念で仕方がない。
 ・私が退職した後、建築研究会、OB会の設立に関わった人、またOB会の価値を認めない人(私との関係が疎遠になった人)等々、多くの人が退会した。退会するにあたって連絡なき人もいるが、連絡があった人には「私との関係も切れます」と、あえて述べさせていただいたにもかかわらず、年賀状を送ってくる人がいる。私にとっての建築研究会&OB会は重要であり、その会を退会することによって人間関係がなくなるということを認識していないのではないかと思われる。軽く考えていることが悔しい。建築学科教員の批判を浴びながらも、他の学生から異端児されながらも、コンペ、課題、Diploma等で共に苦しみ、共に学び、共に喜びを分かち合った仲間としての建築研究会・建築研究会OB会の存在、喜びと仲間の繋がりは苦境の中から生まれるということを実践してきたにもかかわらず。
 ・年賀状送付の中に、引っ越しをした新住所で出されている人がいる。私が自分の住所データベースを変更すると思っているのであろうか。あえて変更せず、来年度も旧住所で送付します。多分、今年の年賀状は転送届が出されていれば転送され、満足しているだろう。転送届を出していなければ、「出したのに送付されてこない」と言って次年度は出さないかもしれない。本人は「Web名簿」を変更したのに、何故、旧住所になっているのだろうかと思うだろう。私への「ほうれんそう」がないことには気づかない。「ほうれんそう」=人間関係ということに気づいてほしい。
 「ほうれんそう」と「明るい挨拶」は、学生のみではなく、社会人にとって「人間関係」「仕事」「組織」「家族」「仲間」等々、現在までかかわってきた人との関係、これから築く人間関係等をスムーズ、更新するための大切な「ツール」です。
 ・目上、上司の人にメール年賀状を出す人がいる。メールは非公式のツールです。友達、同僚ならば良いと認めても、年賀状は公式(慣習、人間関係等)の挨拶ツールでもあることに「気づいて」ほしい。さらに、印刷されたものに自筆で一言添えることも心がけたほうが良い。

③会費振り込みの状況に関して
 現役建築研究会、澤田研究室所属及びOB等の人数が多くなり事務局の対応が大変です。最近の会費徴収状況を見ていると、振り込み依頼(機関誌送付)後、半年で対応してくれる年代は2/3くらい、残りは学内幹事が忘れたりし、再度年度末の催促で振り込まれる状況です(そのための確認作業は大変です)。84年卒以前の年代や卒業して数年の世代はしっかりしていますが、中間層の遅滞が目に付く(もちろんきっちりしている年代も多くありますが)。学年幹事の連絡網も学年毎で様子が異なっており、その年の学年幹事によっては情報が滞っている年代もあります。OB会がつながり合うための情報伝達こそ重要でしょう。
 個々人の事情等大変でしょうがスムーズな事務運営にご協力いただきたい。私からのお願いです。

 以上脈絡のない内容です。
 会員人数、会の行事、研究室プロジェクト等、組織が大きくなり、それなりの問題等をはらんできました。現役学生のOB連絡係からの情報提供に対して、速やかに対応し、会運営がスムーズに進捗するように心がけてほしい。一人一人が組織を担っているという気持ち、微力であるかもしれないが自分にできる担い方で会運営の協力をしてほしい。
 大宮に近い会員、先輩は、できる限り行事に参加し、または研究室を訪問し、後輩と社会&建築状況を語らい、交流を深め、現役学生に刺激を与えてほしい。遠方の方は、大宮近辺に来た時、研究室によってもらうとか、「Web Learning Studio」に参加し、良き「施主」になってもらうとか、「Web名簿」に近況等を書き込んでもらいたい。後輩とのコミュニケーションによる「精神的若返り」「自己更新」を行ってほしい。

 最後まで読んでいただき感謝申し上げます。「Web名簿」に私の近況、及び各自への書き込みへの書き込みを行っています。興味のある人は一瞥を!!

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※最近、タイトル、まえがき、目次等を一瞥し、「自己更新・イノベーション」に役立てばと思い購入、読んだ中で、君たちへも・・・。君たちにとってはどうだろうか!!
 ただし建築関係の本はありません。何故・・・・・・・・

 ・物を売るバカ—売れない時代の新しい商品の売り方— 川上徹也 角川oneテーマ21
 ・脳には妙なクセがある 池谷裕二 扶桑社新書154
 ・ハーバード大学でいちばん人気の国・日本
     −なぜ世界最高の知性はこの国に魅了されるのか—佐藤智恵 PHP新書1029
 ・ウニはすごい バッタもすごい—デザイン生物学— 本川達雄 中央公論新社刊
 ・老いる家 崩れる街—住宅過剰社会の末路— 野澤千絵 講談社現代新書2397
 ・埼玉化する日本 中沢明子 イースト新書
 ・英語化は愚民化—日本の国力が地に落ちる— 旋 光恒 集英社新書0795A
 ・メタ思考トレーニング—発想力が飛躍的にアップする34問—
                        細谷 功 PHPビジネス新書
 ・創造はシステムである—「失敗学」から「創造学」へ— 中尾政之 角川oneテーマ21
 ・フィンランドの教育力—なぜPISAで学力世界一になったのか—
                       リッカ・パッカラ 学研新書
 ・観光立国の正体 藻谷浩介 山田桂一郎 新潮新書
 ・個人を幸福にしない日本の組織 太田 肇 新潮新書
 ・イノベーションはなぜ途絶えたのか—科学立国日本の危機— 山口栄一 ちくま新書

★その他購入した書籍の傾向は「グローバリズム」「アベノミクス」「官僚」「ピケティ」
 「デフレ」「成熟社会」「AI 人工知能」「クラウド」「マイナンバー」「3・11」「中国」
 「韓国」・・・・
 ジャンルを選ばず、「現在的課題・問題」及び話題となっているテーマに関するものが多かった。