篠原一男は自身の建築作品の中に、巧みに様々な概念を当てはめ
ている。建築を取り巻く様々な事象(日本、都市、科学技術、等
)により形成された彼自身の概念・思想は、建築を通し、形態化
され具象的なものへと表現されている。また、様々な与条件、事
象は、篠原の建築内で関係、質の束として構成される。

篠原の建築とは、各種の関係を引き受ける器であり、装置として
捉えることがでる。これは同時に篠原の設計段階に行われる形態
抽出はいわば質、機能、他との関係により決定されるといえる。
つまり設計の初期段階で、(様々な与条件により)その建築に必
               要と考える機能・質の抽出を行うのである。それら機能・質は幾
               何学的要素と対応し、オブジェクト(機能・質を付加された図形
               要素)として認識される。関係の束を統合すると言うことは、同
               時に建築の形態、空間を統合することを意味している。


          

     □主な作品