1978年にパリで行われる「間」展に際し、磯崎は日本における表現領域、生活様式、思
   考形式に「間」という非西欧的基準が介在していることを人々に提示することを意図し、
   その後も場所の理論、デリダの間隙と共に語られている概念。
    「間」展ために書かれた文章の中では、「間」は我々、日本人が伝統的に所有してきた、
   時間と空間の両方に対する感知方法であり、元来二点間の距離を示す言葉である。「間」
   が時間と空間の両者に用いられているということは、日本ではそれらが未分化のまま認識
   され、空間を感知するときには時間を切り離すことはできず、またその反対も言えるので
   ある。この概念は日本の芸術を大きく特徴づけ、絵画、音楽、建築、庭園、演劇等はすべ
   て「間」の芸術と言われている。
   磯崎はこの展覧会のなかで「間」の概念を展示するために、次の9つをサブテーマとして分
   解して見せた。これらは各々、様々な芸術分野の領域にまたがっている。