現代の都市空間、建築空間が教義としてきた「オープンプランニング」から「プロセス
  プランニング」という時間的要因を導入したときの状況下における計画概念である。磯
  崎がここで展開するのは未来のイメージこそは、今現在設計している建築の終末を
  問題としなければならなくなったと指摘し、建築に終末論が必要になるのは建築が実体
  として存在した瞬間から、複雑な活動を内包しながら、疎な活動によって突き動かされ、
  否応なしにひとつの生命体として生きはじめると考えるその段階である。いったん創出
  され、建設された建築は一個の有機体として生命が付与され、その有機体は内包する諸
  活動との相関関係で様々に生きていく。その「生きていく」という断面を実体としての
  建築から受け取るのである。これは一つの段階から次の段階へと移行しようとするプロ
  セスなのであり、それゆえに磯崎は「プロセス・プランニング」を導入したと述べる。
  この「プロセス・プランニング」で重要なのは「終末論」の存在である。「終末論」こ
  そが「プロセス・プランニング」を具体化する鍵となり、現在をとらえると同時に未来
  をイメージする。従って「未来が終末」であるという思惟は、その存在を突き動かし、
  未来への傾斜を明らかにするのである。