応答は手法そのものになる条件をそなえる。すなわち、
          電気と、エレクトロニクスの技術がうみだしたマルチ
          ・メディアが支配する空間をつくることになるわけだ。
          多元的なメディアが人間と共存することは、空間をエ
          クレクティックにつくりあげることだともいえる。近
          代建築は、十九世紀を支配した様式の混淆からの離脱
          をはかるために、建築を生産のレヴェルにひきもどし
          て、工業化という一元性をめざして展開してきたこと
          は明らかなのだが、その状況が過ぎ去って、ふたたび
          多元的でしか支えられない条件がうまれてきたのかも
          しれない。すなわち、この日常の空間には、発生の形
          式もその存在様式も相互に無縁な、数多くのメディア
          が、乱雑に組あわさり、まじわって明滅している。つ
          いには、様式ではなくメディアの折衷を許容する以外
          に、建築を成立させえなくなってきた。応答とは、こ
          んな状況をテクノロジカルに成立させるための手法で
          ある。