ルイス・カーンは、コルビュジェやミースと正反対の方向に向
かっていた。構造体がヴォリュームを決定し、大枠など作らなか
った。だからといって時代遅れというわけではない。古典主義だ
と言われるが、彼は人間が建築を作ろうとするときの元初を探し
求めていたにすぎない。科学の発展にともないビルやアパートが
大量生産されている現在、材料製造過程と建設過程との不均衡な
ど悲しむべき事実が多々ある。そんな中、彼は人類が千年以上の
歳月をかけて築いてきた建築の知識で忘れてはならない重要なも
のを使い、自ら新たな建築理論を組み立てた。カーンは自らの建
築理論を説明する際に、しばしば自身の設計における思考を実例
               として用いる。この事は、カーンの建築理論が、彼の実際の設計
               活動に密接に関係したものであることを物語っている。


          

     □主な作品