空間が建築家の明白な関心となってこなかったこの国の建築的伝
統の中で、ひとり安藤忠雄は、モダニストたちが自ら獲得してき
た新たな感性をさらに書き換えようとしている。彼の目的は東洋
と西洋という2つの様態を、「見かけ上安定した対立を超えて響
きあう新しい場」へと導くことにある。また、他の日本の建築家
同様、安藤は現実と虚構の間の二分法を喚起してきた。

「私は現実の世界の中心に虚構を打ち込みたい。非日常的な現実
の空間を、日常的な虚構の空間につくること」と彼は語る。安藤
にとって建築は、社会的挑戦の方法と見なされるのである。


          

     □主な作品